本日、2月13日。
私、葛木亜莉子は朝から悩んでいた。
カレンダーをちらと見ると、明日は14日。お祖母ちゃんに買って貰った可愛いカレンダーには、女の子用のそれらしく14日に赤いハートのマークがついている。
つまり、バレンタインデー。
元はキリストの聖バレンチノを称えて、将来を誓い合った恋人達が自由に結婚出来ることを祝った日らしいけれど、ここ日本では結婚の手前の恋人達や、手前にも行かない片想いの女の子のための日となっている。
今までバレンタインも勿論祝う習慣なんてなくて、それにチョコをあげるような親しい男の子もいなかったから、私は未だにバレンタインに誰かにチョコをあげたりしたことがない。
けれど、今年は叔父さんもいるし、それに、みんなにも何か私からプレゼントをしてあげたい。
明日はそれに丁度いいような気がする。海外では好きな人じゃなくて親しい人への贈り物の日らしいし!
うんうんと頷いた私の足元に、ころころとチェシャ猫の首が転がってきた。

「どうしたんだい、アリス?」
「あ、チェシャ猫。実はね……」

明日のことを話そうとして、私はふと思いとどまった。
……どうせなら、みんなには内緒にしててびっくりさせたいかも?
うん、それだ! そうしよう。
私がそう決意してまたも一人で頷いていると、チェシャ猫は少し黙って私の顔を見上げ、

「アリス、バレンタインって何だい?」

そう訊いて来た。思わずガツンっと机に頭をぶつけてしまう。

「な、なぁにいきなり?」
「アリスの考えていることは、大体伝わってくるんだよ」

ああ、そういえばそうだった。
いきなりバレてしまったものの、チェシャ猫はまだバレンタインの意味は知らないみたい。

「うーんとね、……明日になったら、教える」
「そうかい?」

チェシャ猫はそれ以上は特に追求せずに、また部屋の中をころころと転がっている。
よし、何とか誤魔化せた。と、思う。
それはともかく、明日の事を考えよう。
……折角なら手作りチョコをあげたいけれど、私は今までチョコを作ったことがない。クッキーとかならあるんだけれど……。
誰かに相談してみようか。
どうしよう?



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